熱分解とは

熱分解とは

 有機化合物(炭素化合物)などを、酸素を存在させずに加熱することで行われる化学反応である。燃焼との大きな違いは、酸素と反応する化学結合ではなく、物質の分子結合を熱によって破壊しバラバラにする分解反応だということである。さらに、500℃以上の過酷な条件下で一定時間分解が行われると、炭素のみが得られるが、これを「炭化」と呼ぶ。

熱分解の過程

 脱水→分解→炭化 食物残滓や紙くず・木片などの動植物由来の廃棄物は、過熱水蒸気で熱分解させると、脱水工程ののち炭化されます。無酸素雰囲気下、過熱水蒸気(約900℃)を処理槽に投入すると、槽内の温度は約400〜500℃になります。 この時投入した生ゴミなどの廃棄物は、200〜250℃の温度帯で脱水が起こり、その後分解工程に入ります。約500℃の雰囲気温度下で90分ほど処理をすると、炭素化合物は炭素の単一結晶として炭化、残滓となります。

無酸素雰囲気状態

 850℃に加熱された過熱水蒸気は、処理槽に噴射された時点で元の100℃の飽和水蒸気より※3倍の体積になります。このため、急速に拡散する過熱水蒸気に槽内の空気が押し出され、内部は無酸素雰囲気状態になります。 ※ボイルシャルルの法則:「気体の圧力Pは体積Vに反比例し絶対温度Tに比例する」 P=k・T/V

脱水

 含水率の高い生ゴミなどの有機化合物は、処理槽内の雰囲気温度が200℃を超えたあたりで脱水が始まります。この現象は処理物に付着した水分や細胞内の水分が分離し気化する前に液体として抜けていく過程です。

分解

 槽内温度が300℃を超えると、複雑な構造を持つ有機化合物はそれぞれの構成分子の運動が激しくなり分子間の結合が途切れバラバラになり始めます。 無酸素雰囲気下での加熱による物性変化は、以下のようなものが挙げられます。
@プラスチックなどの石油化学製品
 ・溶融=殆どのものは、融解しドロドロの液状になります。
 ・気化=沸点の低いものは気化
 ・乾留ガス=気化せず残ったものは、更に加熱が進むと分解が進み、可燃性の乾留ガスが発生します。
A生ゴミ・木材・紙などの動植物由来の有機化合物
 ・乾留ガス=含水率の下がった処理物は、分解が進み一部は可燃性の乾留ガスになります。

炭化

 更に温度が高くなると、分解が進み乾留ガスと融解した分解液が抜けて炭素が残る反応が起こります。炭素は3500℃以上にならないと融解しないので、本装置ではこれが最終形態となります。

有機化合物以外の物質の変化(蒸気温度900℃、処理槽内450℃)

 処理物の中に、有機化合物以外の物が混入した場合は、どうなるのでしょうか?
ガラス類=特に変化は起こらず、残滓として残ります。
セラミック・土・陶器など=特に変化は起こらず、残滓として残ります。
金属類=鉄などの融点が高いものは変化なし。鉛や錫などの融点が低いものは、槽内温度によって融解しドレインより排出されます。